咬合不良の歯を抜歯後にインプラントで治療した症例
咬合不良の歯を抜歯後にインプラントで治療した症例
こちらの患者さまは、右下6番のかぶせ物が取れたため来院されました。
右下7番の痛みも訴えられたため、かぶせ物を外し確認すると、むし歯が歯肉の下まで進行し、保存ができない状態でした。
結果、どちらも予後不良により抜歯が必要と判断しました。
カウンセリングにて抜歯後の治療方法のご提案や相談を行った結果、インプラント治療を希望されましたので、CT撮影、歯槽骨や神経の確認・検査を行いました。
CT検査の実施
CT検査でインプラントの埋入予定位置と神経の位置関係を確認します。
今回のケースでは神経まで十分な距離があり、位置関係の問題はありません。次にインプラントを支えるために十分な骨のボリュームがあるかを確認します。正面からのCT画像を見ると頬側の骨のボリュームが薄く、さらに根の先に透過像が確認できます。
これは根尖病巣(根の先の病気)による骨の吸収です。骨のボリュームが薄く、吸収している部分に骨補填材(人工の骨)の使用が必要と判断しました。
インプラント埋入後のCT画像・レントゲン画像
手術は体へのストレス軽減のために静脈内鎮静法を用いて実施しました。
静脈内鎮静法は点滴から意識をコントロールする薬を投与し、うとうと眠った状態にさせて術中の記憶を覚えていない様にする方法です。
術式は「抜歯即時埋入+骨補填」です。抜歯後、レーザーや器具を使い病巣部分を綺麗に取り除き、即日でインプラントを埋入しました。
骨のボリュームが薄い部分には骨を補填、歯肉を縫合します。手術は約1時間で終了しました。術後は約6ヵ月間、インプラントと骨が結合するための期間をおきます。
結合の評価・型取り
結合期間後、専用の機器を使用してインプラントと骨の結合を評価し、安定性を確認します。安定性に問題ないため、上部構造(かぶせ物)を作製するため土台に付け替え型取りをします。上部構造の型取りはシリコン材を使用し、精密に行いました。
治療完了
型取りから約3週間で上部構造が完成し、装着して治療完了です。
こちらの患者さまは手術から3年ほどが経過していますが、見た目と機能面が改善されて快適にインプラントを使用できており、ご満足いただけました。
・インプラントは噛み合わせの負担が大きいと予後に影響しますので、半年に一度かみ合わせの調整を行います。
・インプラントを長く使用していただくために、当院では3ヵ月毎のメンテナンスと就寝時の歯ぎしり・食いしばりの負担を軽減させるためにマウスピースの着用を必須としております。
年齢・性別 | 50代 女性 |
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治療期間 | 9ヵ月 |
治療回数 | 7~10回 |
治療費(税込) | 1,320,000円 |
リスク・注意点 | ・インプラントは定期的にメンテナンスが必要となります。 ・口腔内が不衛生になると、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。 ・セラミックのかぶせ物は部分的に強い力がかかると、欠けたり、外れたりすることがあります。 |