これからの歯周病治療
投稿日:2017年2月25日
カテゴリ:スタッフブログ
2017年02月25日
これからの歯周病治療に対して新たな薬剤が今後普及していきます。
その名もリグロス(トラフェルミン)です。
今回はこれについて、現在わかっていることを綴っていきます。
<トラフェルミン(リグロス)の作用機序>
歯の周りの組織に炎症を引き起こした状態として、歯周炎が知られています。
歯周炎を放置していると、歯の組織が破壊されていき、進行が重度になると、
最終的には歯を抜かなければいけなくなります。
こうした重度歯周炎を治療するとき、手術によって歯肉を剥離して歯根(しこん)や歯槽骨(しそうこつ)を処置します。処置しなければ、歯槽骨が勝手に再生することはありません。
このとき、歯の土台部分である歯槽骨の再生を促すために使用される薬がリグロスです。
トラフェルミン(商品名:リグロス)を活用することによって、ようやく歯周組織の再生を促すことができます。
<歯周炎について>
歯磨きをしないでいると、口の中に住み着いている細菌によってプラーク(歯垢)がつくられます。歯磨きの主な役割はプラークを取り除くことにあります。
その、プラークが唾液の中に存在するミネラルなどと結合することにより、固くなったものとして歯石があります。歯石については、歯磨きで取り除くことができません。
そして、これらの歯垢や歯石を放置しておくと歯肉に炎症が起こります。これを歯肉炎といいます。歯肉は歯ぐきの表面に存在する組織ですが、炎症が進行すると歯の土台となる部分まで侵襲していきます。これを歯周炎といいます。
歯周炎では、歯周組織である歯肉、セメント質、歯槽骨(しそうこつ)、歯根膜(しこんまく)などにも炎症が起こります。
そこで重度の歯周炎だと、歯肉を剥離させて歯槽骨の処置を行います。メスで歯肉(歯茎)を切開することによって歯根と歯槽骨を露出させ、歯周組織を取り除くなどの処置を行います。このとき、歯科組織の修復を促すために薬を活用するのです。
以下がフラップ手術の術式となります。
<トラフェルミン(リグロス)の特徴>
フラップ手術によって重度の歯周炎を治療するとき、手術によって歯槽骨の一部を取り除くことになります。このとき、歯槽骨の欠損部分に対してトラフェルミン(商品名:リグロス)を塗ります。その際一回だけ投与することになるのですが、手術では歯肉を縫合するために薬の成分は歯周組織の欠損部に残ることになります。
その後、トラフェルミン(商品名:リグロス)の働きにより、歯周組織の再生を促します。
トラフェルミン(商品名:リグロス)は副作用がほぼない薬ですが、副作用としては刺激感・疼痛、発赤、そう痒感(かゆみ)が知られています。 このような特徴により、重度の歯周炎を治療した後の組織修復をスムーズにさせる薬がトラフェルミン(商品名:リグロス)です。
現在では大学病院などでしか治療が認可されていないのが実情です。
今後様々な所でこの薬剤を用いた治療ができる環境が整ってくるかもしれません。
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