インプラント治療に関係する全身疾患には何があるの(2)
投稿日:2023年2月20日
カテゴリ:スタッフブログ
いつも、伊藤歯科医院のブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は前回に引き続きインプラント治療のさいに問題になってくる全身疾患についてお話しさせて頂きます。
インプラント治療は観血的処置を伴う歯科治療ですが、全身疾患のいくつかは、観血的処置前後にトラブルのリスクファクターになりえます。
循環器疾患(心疾患)
心疾患のうち虚血性心疾患が最も多くそう患者数は約80万人と報告されています。心疾患とは、心臓の冠動脈の筋肉に酸素を送る機能が狭窄などを原因に低下するしっかんです。血管が狭窄し一時的に心筋が虚血じょうたいになる疾患が狭心症、血管が閉塞し心筋が壊死してしまう疾患が心筋梗塞です。心筋梗塞の既往がある場合には6ヶ月は観血的処置が禁忌となります。
また、虚血性心疾患の方は抗血栓薬を服用されていることが多く術中、術後の異常出血に注意が必要です。
肝疾患
肝疾患の患者様に問題となるのが、
①異常出血
②抗菌薬、消炎鎮痛薬の選択
③創傷治癒不全です。
異常出血 肝臓の重要な機能の一つに凝固因子の生成があります。肝炎や肝硬変のように肝機能が低下した場合、凝固因子生成能力が低下して、インプラント関連手術の際に止血困難におちいります。
抗菌薬、消炎鎮痛薬の選択
インプラント手術後に処方する抗菌薬の種類に注意が必要です。肝機能が低下している為、肝臓代謝の抗菌薬はさけ、腎代謝の薬剤を処方します。
創傷治癒
肝硬変のように肝機能不全を起こした場合術後の創傷治癒不全の危険性があります。
代謝性疾患 骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨の形成が正常に行われず骨の生成よりも骨吸収が進行してしてしまう疾患で、8割は女性、特に更年期以降に多く発症します。インプラント治療におけるリスクとしては、骨形成不全によりインプラントが骨結合しずらい点と治療後の長期に渡る咬合力に対して維持できないかのうせいがある点です。最も注意したいのが骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネート系薬剤などによる骨の壊死です。これは、インプラント埋入などによる外科的侵襲が顎の骨に加えられた際に発症する可能性が高いです。
インプラント治療においてはこれらの全身疾患や服用薬を確実に把握することが重要です。
問診票には歯科治療に関係ないと考えずに現在治療中の疾患は全て記入して頂くようお願いいたします。また、お薬手帳をお持ちいただくことにご協力ください。必要が有ればかかりつけの医師に対診書をお渡しして正確に現在のお体の状態を把握して安全にインプラント治療をおこないます。
インプラント治療は与野の伊藤歯科医院にご相談ください。
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